拝啓父上さま

ずっと前に見たのに忘れてた。拝啓父上さま。これ一気に見たけど面白かった。にのが若かったです。2007ってことは一昨年だよね、去年と言っても過言ではないよね、人の顔付きって変わるもんなんだな。板前からカレー屋だもんな。八千草薫さんがまぁかわいくってねぇ(ほわほわほわぁぁ〜)茶目っ気たっぷりで優しくて素敵だったな。年を取っていくと男と女ではなくまた別次元の段階に入る気がするんだけど(お爺ちゃんとかお婆ちゃんは)、でも八千草薫の演じたおかみさんはずっといつまでも女の人なんだろうな。このドラマって変えられない「古い」良さと変わっていく「新しい」良さの混在というか戦いだ。結局は時代は流れるわけだから新しい波に抗うことはとても難しい。でも新しい波が来たからと言ってそこで負けじゃないと思える強さを人が持てるかどうかなんだよね。料亭が壊されるときや、夢子さんが変わってしまったときの悲しさとかは出来れば経験したくないし見たくないけど、でも時は流れて時代は進んでいくものだからね。それは止められない。でも止められないからと言ってそこで終わりじゃない。今までと変わってしまったものをどう自分が受け止めて前に進むかなんだよね。時間は平等に流れるのであって時間に罪はないし、どこにも永遠なんてない。あーでもこうやって文字にすると納得せざるを得ないけど、実際にそう上手く切り替えは出来ないよねーだから人生って難しいんだ。


ナオミちゃんと一平の初詣デートの回はとても可愛かったなぁ、雪乃ちゃんと夢子さんも。もう本当にかわいい大女将☆日常生活の中で着物を着て行動したくなるし、また街並みも素敵でねぇ(o^∀^o)でもその後の夢子さんの壊れっぷりが本当に本当に切なくて悲しくて。私いつも八千草薫見ると自分のおばあちゃん思い出すんだよね。やわやわした喋り方とかタレ目とか。っていうか八千草さんって日本人のおばあちゃんなんじゃ…と思う。(役柄の上だけではね、実際はすごーい人らしい。さすが女優やでっ!嫌いじゃない。) 本妻ではなかったけど愛してた人が亡くなってしまってそこで何かが変わってしまったんだろうな。悲しい。神楽坂の世界は未知だなぁ。たぶん一生触ることのない世界だろうけど。車の中から最後のお別れをしなければいけないなんてね。まぁ本妻側の家族からしたら当たり前のことなんだけど。その本妻の森みつことの対面シーンは本当に面白かった(笑)夢子さんが!女っていうか少女のようだよな〜。気持ちはあんなばーちゃんになりたい、揉んだな?とか孫に言ってやりたーい。大物で権力者の妻になるにはいろんなことを黙認しなきゃいけないのね。大変大変。知らないふりして手の上で転がされてるふりしてあげて、なおかつそれを分かってあげなきゃいけないなんて。女は凄い。


っていうかこのドラマの世界は女に左右される世界だな(雪乃ちゃんの場合はちょっと違うけど)。坂下の家の者じゃない竜次さんと一平、そして家のもんだけど立場の弱い保さん、どちらも大変だなぁ。我慢強くないとやっていけない。一平は若いけども我慢の仕方をちゃんと知ってるという意味でちゃんと竜次さんを継いでると思った。通帳を夢子さんの部屋から持ってこいと頼まれて結局律子さん達にばれたときも、自分かわいさでその場しのぎなことはしなかったし。なかなか我慢出来ないよね。どうしたらいいか分からなかったから黙ってたのかもしれないけど…あ、そうだよ!一平は自分の主張は余りしないから黙ってれば事態が好転すると思ってるふしが少しある!エリちゃんとナオミちゃんのダブルブッキングとか。あそこは不味かった…。時夫が待ってたら誰だってびっくりするよ。でもエリちゃんはエリちゃんで将来の道はもう決まってるようなものだからせめて恋愛っぽいことしたかったんじゃないかなー。なんかああいう世界の女の人は(周りの出来事によって)精神年齢を無理やりあげなきゃいけないから強く逞しくなるような気がする。そういう女の人達をしっかり支えているのが男なのかな。我慢を強いられてるようで受け皿になってしっかり支えてる男(か、かっこいい)。保さんもね、苦労してるんだろうなぁ。マスオさんとは比べ物にならないストレス。でももう少し、もう一段階登ると竜次さんのような広い視野で物事を見ることができるんじゃないかな。律子さんもお店のこと夢子さんのこと娘のことが重なっちゃったからね。いっぱいいっぱいになるよそりゃ。そんな律子さんと張り合わずに全体を包んであげる器量の大きさが持てれば最高だネ!(簡単に書くけどこれって超大変だね…人心掌握…ごくり…)頑張れ保さん、あんたならできるよ。一平という仲間というか同士もいるし。


一平もまぁいろいろなところで立場の弱い大変な男だね。それはこの子が優しいからでもあるんだけど。でも雪乃ちゃんはいい女かもしれないけど一平を振り回していてなんかたまにムカムカきた。自分なら親と言えどあんな態度を取られたら我慢ならないと思う。(私はこの時点で竜次さんや一平みたいになれない…) 「ペットやなんかを育てたつもりで…」という言葉は良く言った、一平!と誉めてあげました。拍手。でもその言葉に傷付いたふりをしつつ本当のことは言わないのが雪乃ちゃんの上手過ぎてズルいところだよなぁ。あんな優しい息子はいないと思う。それとも神楽坂とか芸子という環境がそうさせてしまったのかな。普通が普通ではない、みたいな。ナオミの父親でなくて良かったけど一平の父親は結局判明しなかった。知らなくていいものは知らないままでいいってことなのかな。なにもかも知ることが全てじゃない、ってことなのかな…最後にもやもやを感じなかったのはこういうことだったのかも。


一平は夢子さん律子さんエリちゃんに保さん竜次さん、そして雪乃ちゃんのいろんな気持ちが分かったり分かろうとしてて若いのに偉い。大女将のことも当たり前に立てて律子さんとも当たり障りなく出来たら良かったけど一平はそのときそのときを自分にできる精一杯の選択をしていたと思う。それが誰でもない自分で考えて選んでいたから良かったんだよなー。雪乃ちゃんの坂下の秘密を聞かされてビビったり、竜次さんの板前辞める宣言にビビったり、いろいろしながらも最後は自分の意志を持って、弱々しいときもありながらゆっくりと進んでいく一平。そんな一平を見てるとスーッと風が吹いて空に抜けていくようなちょっと寂しくて、でも清々しい気持ちになる。小さな決断を繰り返して頑張る人はこれから起こることの準備が出来てる。だから最後の一平はなんか頼もしく見えたし大丈夫に見えたんだよね。最後と言えばナオミちゃん。そのナオミちゃんと言えばなんで一平は彼女に惹かれたんだろう(笑)一平の雰囲気からすると穏やかで丸っこくてちょっといもっぽい子を好きになりそうなのにぃーと最初は思ってたから黒木メイサの外見に違和感が(笑)ふくださきがデカ目で和風な可愛い子だったから、キレ長で洋風な美人な子っていう対比にしたかったのかな。


にのって恋に奥手なちょっとずれた子が似合うよねーってこれとりゅうせいしか見たことないんだけども。静かにウキウキしてる感じがかわいくてかわいくてかわいくて。お母さんがあんな人だから彼女とは幸せになってくれと応援したくなっちゃう感じだった。最後の最後で筆談していたシーンも印象的。神楽坂だからなのか(といっても自分は神楽坂がどういうものかちゃんとは分かっていない)、倉本作品だからなのか、森山良子のわわわわわっわわっ、わわん♪のせいなのか、このドラマの世界は不思議な時間軸だ。現代であるはずなんだけど、世界がしっかりあってそこから出ていない、出さない世界観?うーんよく分からなくなってきた。なんか「今」って感じがしないんだよね。それが神楽坂なのかな?でも最後までそのせかいは崩れなくて、ドッカーン!とかキャー!とかキラキラ〜☆とかは起こらなかったけど、それがいいのかなって思ったドラマだった。その「世界」のなかで今までもお話はあったんだろうし、今までもお話は続いていくんだろうって思って、なーんにもないように見える世界を(実際はそんなことない、人が生きてるから)大切にしたいと思えるような。感じ?あーあー何このありきたりな感想。でもすっごい面白かった。案の定森山良子の歌がエンドレスリピート。ああとても良いドラマだった。すごく好き。